大人気SF戦記アニメ銀河英雄伝説は、専制君主制の銀河帝国と共和制国家を名乗っている自由惑星同盟の大戦を描いた大作です。
このブログでも、銀英伝についての解説をしていきます。
今回は、銀河帝国に対抗する一大勢力“自由惑星同盟”の栄枯盛衰を見ていきましょう。
この一文からも分かるように、自由惑星同盟は最終的に銀河帝国によって滅ぼされてしまいます。
ですが、銀河帝国に一方的に滅ぼされたわけではありません。
帝国の要衝を陥落させて、大規模な侵攻もしています。侵攻自体は失敗に終わりましたが、帝国の脅威であり続けていました。
そんな自由惑星同盟はどのように生まれて、そしてどのように滅んだのか。
アニメ勢の方にはネタバレ注意です。
自由惑星同盟の成立
自由惑星同盟が生まれたきっかけ。
それは、銀河帝国による圧政。
特に知識人や思想家が標的となった弾圧に耐えかねた一部の共和主義者がハイネセンをリーダーとして帝国を逃亡。
ハイネセンは旅の中でなくなったけど、仲間が首都となる星を発見しそこに居住。それ以来帝国からの亡命者なども加わり、正式に自由惑星同盟を結成。
これが宇宙暦527年(帝国暦218年)の出来事。
ちなみに、ハイネセンによる逃亡と首都星移住は“長征一万光年”と呼ばれています。
これ以降、銀河帝国と敵対関係となり滅亡するその時までその関係は続きました。
銀河帝国との小競り合い
独立した自由惑星同盟でしたが、圧倒的な力を持つ帝国に序盤は抵抗するのえ精一杯でした。
まずは、反転攻勢に入る前の自由惑星同盟初期を見ていきましょう。
帝国からの2度の討伐軍
自由惑星同盟の結成から100年以上が経った宇宙暦640年。
ついに銀河帝国が討伐軍を送ってきました。
しかし、辺境の叛徒と侮っていた帝国は、次期皇帝である大公と仲良し貴族で討伐軍を編成。用兵能力に乏しい帝国軍にたいして同盟軍は大勝し、大公を皇帝候補から外させただけでなく帝国の戦力を削ぐことにも成功しました。
その後も臣従を求める使者が送られてきますがそれを拒否し続け、時の皇帝コルネリアス1世が大艦隊を率いて討伐に来るまでに発展しました。
しかし、この討伐軍も同盟軍は破っています。
これによって財政や軍事面で大打撃を受けた帝国は、大規模な親征を控えるようになり、同盟軍が勢力を高めるきっかけになりました。
第二次ティアマト会戦
親征を耐えて勢力拡大を続ける自由惑星同盟でしたが、その拡大路線が止まる時が訪れます。
それが、宇宙暦745年に起こった第二次ティアマト会戦です。
この戦争では、宇宙暦730年に軍人となった同期で構成された “730年マフィア” と呼ばれる精鋭指揮官が戦死するなど、人的物的資源が置く失われました。
ただ、同盟・帝国ともに大艦隊を率いての会戦であり、同盟はこの戦いに勝利しています。それに、敵方の旗艦もいくつも破壊しています。
しかし、同盟軍は5個艦隊の内2個艦隊が背後を突かれて大打撃を受けて1個艦隊は指揮官を失うことになりました。そして、この会戦の最後の方には宇宙艦隊司令長官でこの会戦の司令官ブルース・アッシュビー大将が戦死しています。
ブルース・アッシュビーの後を継いだ同じ730年マフィアの司令長官も次の会戦で戦死。
このままでは、勢力を盛り返した帝国に蹂躙されてしまいます。
そこに現れたのが、自由惑星同盟側の主人公!
ヤン=ウェンリーと議会の嫌がらせ
ヤン=ウェンリーの登場で、一時的ではあるものの、自由惑星同盟は力を付けることができました。
ここからは、ヤンが台頭していく過程とそれを邪魔する政治家たち、銀河帝国の動きを見ていきましょう。
アニメ勢の方はネタバレ注意です。
エル・ファシルの英雄
ヤン=ウェンリーが表舞台に登場したのは、宇宙暦788年に帝国との国境付近エル・ファシル本星に赴任中に起こった戦い。
ヤンはエル・ファシル本星の駐留部隊の中尉で、戦い自体には参加していません。
ヤンが担当したのは、敗色濃厚となり侵攻される前に民間人を本星から脱出させること。
しかし、普通に脱出すれば帝国軍に捕捉されて攻撃されてしまいます。
そこでヤンは、帝国軍に負け敗走する駐留艦隊をお取りにして築かれないように脱出する策を取りました。その結果、帝国軍に捕捉されたものの、偽装もしせずに出てきたことを不審に思いながらも自然物だと思い込みまんまと脱出を成功させます。
この功績を受けて段階的に二階級特進して少佐となっています。
ちなみに、敗走して帝国に降伏した駐留艦隊の司令官リンチは後に登場します。
また、この脱出には後にヤンにとって大切なキャラたちが何人かいるのですがここでは伏せておきます。
第6次イゼルローン攻防戦
初めてヤンとラインハルト(銀河帝国側の主人公)が対峙したのが宇宙暦794年の第6次イゼルローン攻防戦。
この戦闘には、後に指揮官など重要人物として登場するキャラクターが多く参戦しています。
最初こそ、作戦参謀ヤン大佐の案でラインハルトに打撃を与えるなど優勢に進んできましたが、上官の作戦はラインハルトに看破されて攻め切ることができません。
ついには、ラインハルトの策で誘い出された同盟軍は、イゼルローン要塞の砲撃で大打撃を受けて敗退していきました。
しかし、ヤンはこの戦闘の功績で准将に上がっています。
アスターテ会戦
そしてついに、ラインハルト上級大将が大艦隊を率いて同盟に侵攻してきました。
これが、宇宙暦796年のアスターテ会戦です。
ヤンは、第2艦隊の次席幕僚として参戦。
同盟軍が動員したのは、ラインハルト艦隊の2倍の戦力――3個艦隊約4万隻。
物量で勝る同盟軍は、包囲殲滅を目指しますが、それを見抜いていたラインハルトに各個撃破されていきます。
第4艦隊と第6艦隊は壊滅し、第2艦隊も開津市掛けていましたが、司令官パエッタが負傷して指揮権が次席幕僚ヤンに変わると自体が一変。
敵に通信を傍受されている事を知ったうえで事前に通達した作戦どうりに動くように命令。
その命令に従い、第2艦隊が二手に分裂し中央突破を図るラインハルト艦隊を通過させて背後を強襲。ラインハルトも反転して第2艦隊の背後に回って消耗戦に突入。
結果として双方が撤退してアスターテ会戦は終結しました。
この功績で、ラインハルトは元帥兼宇宙艦隊副司令長官となり、ヤンは少将に昇進して第4第6艦隊の残存勢力などで構成された第13艦隊(ヤン艦隊)の司令官に就任しました。
そしてすぐに、第13艦隊の初陣が告げられます。
攻撃目標こそが、同盟と帝国を隔てるイゼルローン要塞。
第7次イゼルローン攻防戦
第13艦隊という響きは良いけど、敗残艦隊の寄せ集めということもあって規模は半個艦隊。
さすがの天才ヤン少将でも艦隊攻撃では攻略できません。
そこで、ヤンが味方に引き入れたのが帝国からの亡命者やその子弟で構成された部隊(薔薇の騎士連隊)です。
連隊長シェーンコップ大佐は、帝国側のスパイに扮してイゼルローンへの入港を求め、要塞司令官シュトックハウゼン大将がそれを許可。
シェーンコップは、同盟側の機密を持っているといっていたことから、武装解除の上ですぐに司令部に通されました。
これを好機に、シェーンコップとその部下が司令部を制圧。その後ヤン艦隊が要塞を占拠しました。
そして、出撃してきた要塞艦隊は通信妨害を受けてヤン艦隊の捕捉ができませんでしたが、要塞陥落と共に通信が復活。すぐにイゼルローン要塞へ急行してきましたが、降伏を拒否する司令官を要塞砲で旗艦もろとも消滅させ、残る艦隊を敗走させました。
この功績で、ヤンは中将に昇格。
ちなみに、アスターテ会戦からイゼルローンの攻略まで3か月のことでした。
帝国領への大侵攻
イゼルローン要塞を手に入れた同盟軍では、停戦派と侵攻派に割れて議会でも議論されました。
その結果、戦争継続が決定されて大規模な帝国侵攻計画が決定。
この計画は、フェザーン自治領の思惑で帝国にリークされて、すぐさまラインハルトに同盟軍の迎撃が命じられます。
同盟軍の陣容は、宇宙艦隊司令長官をトップとした大戦力。
第3、第5、第7、第8、第9、第10、第11、第13艦隊の8個艦隊3000万人以上の兵力があり、同盟軍の6割の戦力となっています。
宇宙暦796年8月に侵攻作戦が開始され、序盤は同盟軍が各地を占領。
しかし、兵站や占領地への物資配布が重荷となって長くなった補給線が弱点となってしまいました。
そのタイミングで、ラインハルトは補給艦隊を殲滅し、同盟の各艦隊にも攻撃を加え敗走させました。
しかし、本国では戦争継続が決定し、イゼルローン要塞の艦隊司令部は本国からの指示もあり、要塞近くのアムリッツァ恒星系へ全軍を集結させることにしました。
しかし、この会戦でもラインハルトの指揮がさえて同盟軍は大敗。
ヤンの采配で何とか全滅は避けれてものの、3分の2以上の兵力を失う結果となり、熟練の司令官や兵士を多く失ったことで長期の再編が必要になってしまいました。
その結果、今後帝国領への再侵攻は行われることなく衰退していきます。
また、遠征の失敗を受けて議会は解散し首脳部は総辞職。軍部でもトップが退役や左遷となりました。
そうして始まったのが国防委員長だったトリューニヒトによる新政権。
そこでのヤンは、大将としてイゼルローン要塞司令官とイゼルローン要塞駐留艦隊司令官を兼任することになります。
救国軍事会議VSヤン艦隊(宇宙暦797年)
帝国内では、皇帝の急死で動乱が発生。
ラインハルトは、動乱が鎮まるまでの時間稼ぎと同盟の戦力低下を狙ってクーデターを起こさせました。
方法は、エル・ファシルの戦いでヤンたちを置いて降伏したリンチ司令官たち捕虜を交換して同盟軍内の不穏分子を先導。帝国内の内乱勃発のタイミングでクーデターを起こさせるというものでした。
その作戦は見事に成功して、ヤンの副官フレデリカの父ドワイト・グリーンヒル大将が率いる救国軍事会議が4カ所で反乱を起こして首都ハイネセンも占拠。
ヤンは、救国軍事会議の誘いには乗らなかったものの、クーデターの鎮圧を命じられてしまい、第13艦隊を率いてイゼルローンを出撃。
クーデターに参加していた第11艦隊を降伏させ各地の反乱を平定。首都防衛システムを破壊したことでクーデターの失敗がほぼ確定しました。
そこにヤン艦隊が救国軍事会議がラインハルトの操り人形だと暴露。大義を失った救国軍事会議はグリーンヒル大将がリンチに撃たれ、リンチも周りの部下に撃たれて統率を失った救国軍事会議は降伏し幹部は自決しました。
このクーデターで軍権が政治家に掌握されてしまい、同盟軍の弱体化が加速していきます。
第8次イゼルローン要塞攻防戦(宇宙暦798年4月~5月)
クーデター鎮圧での昇進は見送られたものの、名声が高まっていたヤンは政府から敵視されていました。
それを利用したのが中立勢力フェザーン。
フェザーンの策略で、ヤンは査問会に呼び出されて首都に軟禁状態。
そのタイミングで要塞ごとワープしてきた帝国軍がイゼルローン要塞を攻撃。
このままではイゼルローンは陥落するということで、査問会は中止となりヤンは少数の艦隊でイゼルローンに急行。
帝国内乱で亡命してきたメルカッツ提督やヤンの義理の子ユリアンたちイゼルローン指揮官たちに持ちこたえることができ、ヤン艦隊と要塞駐留艦隊で挟撃したことで帝国艦隊を撃滅。
その後、要塞での特攻を仕掛けた帝国軍はヤン艦隊とイゼルローン要塞によって破壊されてしまいました。
この攻防戦の後に、ユリアンは正式に軍人となります。
自由惑星同盟の最後の戦い
イゼルローン要塞攻防戦を受けて、フェザーンの工作でヤンに嫌がらせしていた議員は失脚し、政府もヤンを自由にさせるようになりました。
しかし、既に帝国と同盟の国力は圧倒的になってしまいました。
ここからは、自由惑星同盟の終焉を見ていきましょう。
自由惑星同盟の無力化
自由惑星同盟に終焉の時が音連れたのは、イゼルローンを守り切った3か月後に起こった事件(神々の黄昏作戦)がきっかけ。
事の発端は、フェザーンの策略で先帝の妃(侯爵夫人)とフェザーンに亡命中のレムシャイド伯がっ中心となっての幼帝誘拐。
その誘拐グループが自由惑星同盟に亡命し、銀河帝国正統政府を自称したことで、宰相ラインハルト伸び王×対象にされてしまいました。
皇帝誘拐を事前に察知していたラインハルトによって、8月20日の正統政府樹立と共に宣戦布告されてしまい、いよいよ帝国と同盟の最終決戦が始まりました。
ラインハルトは、まずイゼルローンへ陽動艦隊を送り、本隊をフェザーンへと向かわせました。
イゼルローン要塞の司令官ヤンは、10月からの3ヶ月にわたって防衛しましたが陽動だと分かると要塞を放棄して首都星ハイネセンへ撤退。
そして、フェザーンを平定したラインハルトは、同盟軍主力を下してハイネセンへ向けて侵攻していきました遊撃艦隊と化したヤン艦隊に補給線を狙われて侵攻がうまくいかなくなりました。
そしてラインハルトとヤンの直接対決ではヤンが優勢。このままいけばヤン艦隊の勝利というところで、帝国軍別動隊がハイネセンを無血占領しヤン艦隊に停戦命令が来たことで終戦となりました。
宇宙暦799年5月にラインハルトとトリューニヒトの間でバーラトの和約が結ばれたことで、自由惑星同盟は存続できたものの戦艦や空母を放棄させられて多額の賠償金まで取られて、再起はできなくなりました。
ヤン艦隊の独立
和約成立から2か月後には、和約の履行のために艦艇を破壊しようとしていたタイミングで謎の集団が強襲される事件が派生。戦艦464隻と空母80隻が強奪されます。
この集団を先導したのがヤンだと断定して逮捕。これを受けて、シェーンコップらヤン派の軍人が同盟政府の要人ジョアン・レベロを拉致してヤンとの人質交換を要求。
この要求に対して統合作戦本部長がジョアン・レベロを犠牲にしてヤンを謀殺しようと試みましたが、シェーンコップらが先回りしてヤンを救出。
その後、今回の騒動の黒幕高等弁務官レンネンカンプを拉致してハイネセン脱出のための鑑定を要求。
レンネンカンプは、ヤンに負けたことと協力者レベロがヤンに就いたことを知り自殺しました。
そして、同盟側を騙してまんまと準高官を手に入れたヤンたちは、ハイネセンを脱出してエル・ファシルへと向かいました。
自由惑星同盟の滅亡
ヤンの逮捕からはじまる騒動を知ったラインハルトは、同盟にとどめを刺すべく大親征を決定。
レンネンカンプの密葬の後、11月10日に宣戦布告と和約の破棄を通告しました。
これを受けてシェーンコップが宇宙艦隊司令長官に復帰するとともに、敗色濃厚ということで30歳以下の若い将兵の参戦を認めずに、辺境にいたヤンの部下たちを半個艦隊付きでエル・ファシルに送り届けました。
その後に行われた戦闘で、ヤン艦隊がイゼルローン要塞を奪取したもののシェーンコップら同盟軍は全滅し、ハイネセンはまたも無血開城しました。
そして、宇宙暦800年2月20日に冬バラ園の勅令が出されて、名実ともに自由惑星同盟は滅亡しました。
また、この勅令によって帝国が叛徒と言っていた自由惑星同盟が国家として承認されました。
まとめ
自由惑星同盟は、共和派の元帝国民が新世界に建国した新興国でした。
そんな国が帝国軍と長年に渡って戦争を続けて一時的に帝国領に侵攻するまでに成長いました。
しかし、政治の腐敗と度重なる大敗で衰退していき天才ラインハルトが宰相・皇帝になったことで最強となった帝国にあっさりと傀儡化した挙句滅ばされていました。
ただ、ヤンと一部の軍人政治家がエル・ファシルとイゼルローンで新国家を作り抵抗を続けていますので、帝国VS共和制国家の戦いは続きます。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
今後もアニメの情報発信頑張りますので、是非他の記事も読んでください。